2026年前半を示すカレンダーと、ウェブサイトを表示したパソコンのそばにいるスピリッツ君とアクセス君のイラスト

2026年前半の主な動きを振り返る

2026年も後半に入り、ウェブアクセシビリティを取り巻く環境には、いくつか注目したい動きがありました。

今年1月の記事では、2025年の動きを振り返りながら、2026年はアクセシビリティを「ルールとして知る」だけでなく、日々の制作や運用の中に取り入れていくことが重要になると紹介しました。

今回はその後の動きとして、「JIS X 8341-3の改正に向けた動き」「デジタル庁のWCAG 2.2への対応」「AIとアクセシビリティ」の3つの視点から、2026年前半の主なトピックを見ていきます。

第1章:WAICが「WCAG 2.2 日本語訳」を更新

背景と内容

今年1月の記事では、2025年10月に「JIS X 8341-3改正原案作成委員会」が発足し、国内でもJIS X 8341-3の改正に向けた検討が始まったことを紹介しました。

その後、2026年6月8日、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)は「WCAG 2.2 日本語訳」を更新しました。

今回の更新は、JIS X 8341-3の改正検討の過程で、WCAG 2.2の達成基準の名称をはじめ、日本語訳全体を改めて見直し、より原文に沿った表現へ修正したものです。

つまり、前回紹介したJIS改正に向けた動きが、その後も具体的な作業として進められていることが分かります。

ただし、今回公開された日本語訳がそのまま新しいJIS規格になるわけではありません。WAICも、JIS X 8341-3の原案検討の参考として作成したものだと説明しています。

今後の見通し

JIS X 8341-3の具体的な改正内容や公表時期については、今後の検討を待つ必要があります。

一方で、今回の日本語訳更新からも、WCAG 2.2を踏まえたJIS改正に向けた準備が着実に進んでいることがうかがえます。

新しいJISが公表されてから慌てて対応するのではなく、今のうちからWCAG 2.2の内容を確認し、自社サイトに関係する項目を少しずつ把握しておくことが、今後のアクセシビリティ改善につながりそうです。

第2章:デジタル庁がWCAG 2.2をアクセシビリティ方針に明記

背景と内容

2026年3月31日、デジタル庁はウェブアクセシビリティ方針を更新しました。

現在の方針では、これまで国内で広く利用されてきたJIS X 8341-3:2016に加えて、国際的なウェブアクセシビリティのガイドラインであるWCAG 2.2も、アクセシビリティの確保・維持・向上に取り組むための指標として活用することが明記されています。

一方、同日に公表された2025年度のウェブアクセシビリティ検証結果では、試験そのものは引き続きJIS X 8341-3:2016に基づいて実施されています。

つまり、国内のJISを基本としながら、今後を見据えてWCAG 2.2の考え方も取り入れていく姿勢が示されていると見ることができます。

今後の見通し

第1章で紹介したように、現在はWCAG 2.2を踏まえたJIS X 8341-3の改正に向けた検討が進められています。

デジタル庁が、WCAG 2.2のA・AA達成基準のうち現行JISに含まれていない18項目も目標として取り入れていることからも、国内のウェブアクセシビリティ対応でも、より新しい国際的な基準を意識した取り組みが進みつつあることが分かります。

今後JIS X 8341-3の改正が進めば、ウェブサイトで確認・対応すべき内容がこれまでより増える可能性もあります。基準の変化に合わせて継続的に見直していくことが、より重要になっていきそうです。

第3章:W3Cで生成AIとアクセシビリティの検討が進む

背景と内容

文章や画像、プログラムなどを生成AIで作ることは、ウェブ制作の現場でも身近になってきました。

W3Cでは現在、機械学習や生成AIがアクセシビリティにどのような影響を与えるのかについて検討が続けられています。

例えば、AIを使って画像の代替テキストを生成したり、音声から字幕を作成したり、文章やHTMLの作成を支援したりすることができます。

一方で、AIが生成した内容が、そのままアクセシブルであるとは限りません。例えば画像の代替テキストは、画像に何が写っているかだけでなく、その画像がページの中でどのような役割を持っているかによって、適切な内容が変わります。

今後の見通し

現在は生成AIを使って、ウェブサイトそのものを短時間で作成できるサービスも増えています。

ただし、見た目には問題がなくても、キーボードだけで操作できるか、スクリーンリーダーで正しく利用できるかなど、アクセシビリティの確認をすべてAIだけに任せることは、現時点では難しいのが実情です。

今後AIによるウェブ制作がさらに身近になるほど、単に短時間でウェブサイトを作ることだけでなく、アクセシビリティを含めたサイトの品質についても考慮することが重要になっていくと思います。

今回のまとめ

2026年前半を振り返ると、ウェブアクセシビリティを取り巻く環境は少しずつ変化しています。

JIS X 8341-3の改正に向けた検討が進み、デジタル庁のウェブアクセシビリティ方針にもWCAG 2.2が明記されました。また、生成AIの普及によって、ウェブサイトやコンテンツの作り方そのものも変わり始めています。

これからも基準や技術の新しい動きを確認しながら、誰もが使いやすいウェブサイトづくりにつなげていくことが大切になりそうです。

参照リンク・関連資料

本記事で触れたトピックの詳細については、以下の公式サイトをご参照ください。

※注記:以下はすべて外部サイト(別タブで開きます)です。

国内:規格関連

国内:ウェブアクセシビリティ方針

AI・アクセシビリティ関連