
基礎からわかる解説シリーズ
なぜ今、JIS X 8341-3について知っておきたいの?
スピリッツ君とアクセス君の会話(第1章)
ウェブアクセシビリティについて調べていると、「JIS X 8341-3(ジス エックス はちさんよんいち さん)」という言葉を目にすることがあります。
2026年9月28日には、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)から「JIS X 8341-3とは何なのか? ウェブコンテンツのアクセシビリティのために」という新しい解説コンテンツが公開されました。
現在、JIS X 8341-3は改正に向けた動きが進んでいます。
こうした動きをきっかけに、今回から全3回にわたり、JIS X 8341-3について基本的なところから分かりやすく紹介していきます。
まず第1回では、JISとは何か、そしてJIS X 8341-3がどのようなものを対象としているのかを見ていきましょう。
そもそも「JIS」って何?
スピリッツ君とアクセス君の会話(第2章)
JISは「日本産業規格」のことで、産業標準化法に基づいて制定される日本の国家規格です。
製品やサービスなどの品質や安全性、使いやすさなどについて、共通の基準を示すために定められています。
JIS X 8341-3も、その中の一つです。
ここで覚えておきたいのは、JISは原則として任意の規格であるということです。
「JISだから、すべての企業が必ず守らなければならない」というものではありません。ただし、法令などでJISが基準として引用されている場合には、その法令に基づいて守る必要が生じることもあります。
「JIS X 8341-3」は何のための規格?
スピリッツ君とアクセス君の会話(第3章)
現行の規格は「JIS X 8341-3:2016」で、正式名称は「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」です。
少し難しい名前ですが、簡単にいうと、高齢や障害などの理由にかかわらず、より多くの人がウェブコンテンツを理解し、利用できるようにするための基準を定めた規格です。
ウェブサイトを利用する人の状況はさまざまです。画面の文字を読む人もいれば、音声読み上げソフトを使う人や、マウスを使わずにキーボードで操作する人もいます。
こうした利用方法の違いにも対応できるよう、ウェブコンテンツを制作する際に、どのような点に配慮すればよいのかを共通の基準として示しているのがJIS X 8341-3です。
つまり、ウェブサイトを制作・運営する際に、アクセシビリティを確保するための判断基準となる規格といえます。
なお、ウェブアクセシビリティの基本的な考え方については、以前の「ウェブアクセシビリティ入門」第1回でも紹介しています。
「ウェブコンテンツ」ってどこまで含まれるの?
スピリッツ君とアクセス君の会話(第4章)
ウェブサイトには、文章や写真、動画などの情報だけでなく、利用者が情報を探したり、サービスを利用したりするためのさまざまな機能があります。
JIS X 8341-3が対象とするウェブコンテンツには、サイト内のメニューやリンク、ボタン、検索機能、問い合わせフォームなど、利用者が操作する部分も含まれています。
例えば、ウェブサイトに必要な情報が掲載されていても、メニューが操作できなかったり、問い合わせフォームが利用できなかったりすると、その情報やサービスを十分に利用できない場合があります。
そのため、ウェブコンテンツのアクセシビリティを考える際には、情報を理解できることだけでなく、必要な操作ができることも重要になります。
一方、パソコンやスマートフォンなどの機器そのものや、ブラウザのURL入力欄、ウィンドウ操作ボタンなどは、JIS X 8341-3が直接対象とするウェブコンテンツには含まれません。
こうした機器やソフトウェアのアクセシビリティについては、別のJIS規格などで扱われるものもあります。
このように、JIS X 8341-3は、機器やブラウザそのものではなく、それらを通じて利用する情報や操作部分を対象としています。

企業のウェブサイトとはどう関係するの?
スピリッツ君とアクセス君の会話(第5章)
JIS X 8341-3は、行政機関だけを対象とした規格ではありません。企業のコーポレートサイトやサービスサイトでも、アクセシビリティを考えるうえで重要な基準の一つになります。
例えば、ウェブサイトの新規制作やリニューアル、日々の更新などでは、デザインや機能だけでなく、さまざまな利用者が情報を理解し、必要な操作を行えるかという視点も大切です。
その際、担当者や制作会社がアクセシビリティについて共通の認識を持ち、判断のよりどころとして活用できるのがJIS X 8341-3です。
具体的には、「キーボードだけでも操作できるか」「画像で伝えている情報を別の方法でも理解できるか」「リンクやボタンの役割が分かるか」といった点も、アクセシビリティを確認する際の大切なポイントになります。
こうした具体的な取り組みについては、以前の「ウェブアクセシビリティ入門」第4回でも紹介しています。
また、JIS X 8341-3では、アクセシブルなウェブコンテンツを実現するための考え方や基準が、4つの原則をもとに整理されています。この4原則については、過去の第3回の記事でも紹介しています。
このように、JIS X 8341-3は、企業がウェブサイトのアクセシビリティについて考え、制作・運営の中で共通の基準を持つためにも役立つ規格なのです。
今回のまとめ
今回は、JIS X 8341-3とは何なのか、その基本を見てきました。
- JISは、日本の国家規格で、原則として任意の規格
- JIS X 8341-3は、ウェブコンテンツのアクセシビリティについて定めた規格
- 対象には文章や画像だけでなく、リンク、ボタン、フォームなどの操作部分も含まれる
- 企業のウェブサイトでも、アクセシビリティを考えるための重要な基準の一つになる
では、JIS X 8341-3と、ウェブアクセシビリティの国際的なガイドラインである「WCAG」には、どのような関係があるのでしょうか。
次回は、JIS X 8341-3とWCAG、そして国際規格であるISO/IEC 40500の関係について整理していきます。
参照リンク・関連資料
本記事で紹介した内容について、詳しくは以下の公式資料をご参照ください。
※注記:以下はすべて外部サイト(別タブで開きます)です。
ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)
JIS X 8341-3とは何なのか? ウェブコンテンツのアクセシビリティのために
日本産業標準調査会(JISC)
産業標準化とJIS
全3回でわかる「JIS X 8341-3」
- 第1回:そもそも「JIS X 8341-3」とは?
- 第2回:JIS X 8341-3とWCAGは何が違う?(公開予定)
- 第3回:JIS X 8341-3はこれからどう変わる?(公開予定)


